テトラオドン・ムブは世界一大きく美しい淡水フグです。知れば知るほど美しさと愛くるしさに魅了されます。
ムブを水族館で見てその美しさに魅了されて飼育したくなる方も多く、フグ愛好家たちもムブの飼育に憧れでをいだき、いつか飼いたいと夢を見ます。
さて、今回はそんな人の心を魅了する美しき超大型淡水フグのテトラオドン・ムブについて解説していきます。
この記事にたどり着いた方の中には、ムブを見てしまったからこそアクアリウムを始めたくなった!と言う方もいると思います。
ムブはその大きさから飼育の運用コストがかかるので、まずは、こちらの記事で飼育方法などを理解したうえで、それでも飼いたい!と思えるのかチェックしてみてください。
テトラオドン・ムブとは?
テトラオドン・ムブはこんな淡水フグ!
テトラオドン・ムブはアフリカ大陸中央部のコンゴ川流域やタンガニーカ湖に住む世界最大の淡水フグです。どれくらい大きくなるかと言えば自然界なら70~100cm、水槽飼育なら50~70cmです。
川と湖では川に生息している方が多く、湖に生息しているムブはめったに見ることができないとのこと。生息地から別名「タンガニーカ・フグ」とも呼ばれることがあります。
迷路のような黄色と黒の唐草模様が特徴的で、模様は成長するにつれて細かく複雑になっていきます。
また、成熟したテトラオドン・ムブは人魚のような尾ビレを優雅に揺らす姿が魅力です。その姿は数多い淡水フグの中でも最も美しいといわれるほどです。
(引用元:北の大地の水族館ブログ)
↑すごくきれいですよね!このムブは水族館で飼育されているので自宅の水槽ではなかなかここまで大きくするのは難しいと思いますが、水族館でムブに出会てしまったら魅了される気持ちはよく分かります。
↓こちらは成長途中のムブです。尾ひれもまだそこまで長くはないですね。
ちなみに、幼魚のテトラオドン・ムブはこんな模様↓(ちょっと良い写真がなくて申し訳ないです)
こんなかわいい子が最初の画像のような姿になるとはビックリです!
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テトラオドン・ムブは他の淡水フグとどう違う?
テトラオドン・ムブと他の淡水フグの大きな違いはこの6点!
テトラオドン・ムブは次の6点が他の淡水フグ*との大きな違いですね。
(*このサイトで紹介している12種の淡水フグと比較)
- 成長と共に模様が変わる
- 人魚のような長い尾ビレになる
- 砂にもぐる習性がある
- 強靭な顎と歯をもつ
- 水槽内で膨らむことが多い
- ペットのように人にも良く慣れ、懐く(頭がいい)
同じく大型の淡水フグ、テトラオドン・ファハカと似た特徴もありますが、このサイトで紹介している12種のフグで比較するとこの6点が特徴的な部分になります。
違い1:成長と共に模様が変わる
前の章でお伝えしたようにテトラオドン・ムブは成長と共に模様が変化していきます。
唐草模様のラインが成長するほど細く複雑なり、ボディーカラーの黄色も鮮やかになっていきます。
他の淡水フグも若干柄の出方が変化したりしますが、テトラオドン・ムブのように模様が複雑になるという変化はないので、他の淡水フグにはない楽しみですね!
違い2:人魚のような長い尾ビレになる
前の章でお伝えしたようにテトラオドン・ムブは成長と共に尾ヒレも長く人魚のようになっていきます。
尾ヒレを優雅に揺らす姿はとても魅力的ですよね。お家であの美しい尾ヒレを優雅に揺らす姿を見れるのはとても贅沢ですね。
55mサイズのテトラオドン・ムブの動画を見つけたのでシェアしますね。かなりいやされますよ!
違い3:砂に潜る習性がある
テトラオドン・ムブは砂に潜る習性があります。飼育者さんのブログをみると眠るときなどに底砂に潜るようです。
ただ、ムブは水槽管理の都合からベアタンク(底砂を引かない水槽)で飼育する方も多いので、SNSなどで潜った姿は見つけられませんでした。
違い4:強靭なあごと歯をもつ
淡水フグには歯があり、テトラオドン・ムブは上下に2本ずつ歯があります。名前につくテトラオドンは4本の歯という意味なんです。
小さな幼魚の見た目の愛くるしさからは想像しにくいかもですが、幼魚でもメダカなどの生きた魚を食べ、大きくなれば上下の強靭な歯で貝やザリガニもバリバリ食べます。
顎や歯が強いため、水槽内のヒーターやコード、水草を齧ります。
水槽内に仕切りをつくってヒーターやフィルターは別にしておくのが得策ですね。仕切りを作らないのであれば、より一層感電に気を付けなければです。
ちなみに、別途紹介したテトラオドン・ファハカのように飼い主の手を噛む(噛まれた)と言う情報は見受けられませんでした。飼育者さんたちは、ムブは餌はバリバリ食べて迫力あるけど、基本的に温厚、臆病と言う評価をされていました。
とはいえ、強い歯を持つので注意は必要です。
違い5:水槽内で膨らむことが多い
テトラオドン・ムブは、基本1つの水槽で1匹の単独飼育なので他の魚を威嚇するということはないのですが、飼育者さんのブログなどでたびたび水槽内で膨らんでいるという報告が上がっています。
膨らんだときは調子が良くないと書いている飼育者さんもいれば、朝に膨らんでいることが多いと言って特に気にしていない方もいました。
ただ、フグが体を膨らませることは通常の状態ではないので、ムブにとって何かしら心地よくないことがあるのだと思います。
膨らんだテトラオドン・ムブ(引用元:北の大地の水族館ブログ)
↑これぞフグ!といった具合によく膨らんでいますね。
違い6:ペットのように人にも良く慣れ、懐く(頭がいい)
他の淡水フグもお腹がすくと近寄ってきてエサくれダンス(左右に泳ぎながらアピールする)をしたりと人懐っこさを見せますが、テトラオドン・ムブは複数のフグを飼育したショップ店員さんが賢くひとなつっこいと評するくらいです。
飼い主のアイスに興味津々でエサくれダンスをするめちゃくちゃ可愛いムブの動画を見つけてしまったのでシェアしますね。
先ほどから何度か紹介している「北の大地の水族館」のムブはガラスに近寄ってきて唇をとつける、キスのようなしぐさをするそうですよ。
ガラス越しにキスをするテトラオドン・ムブ(引用元:北の大地の水族館ブログ)
↑こんなに近寄ってきてくれるとは、可愛いですね!
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テトラオドン・ムブの基本情報(寿命・サイズ・水温・pH)
テトラオドン・ムブの寿命はこちら!
テトラオドン・ムブの寿命は約5〜8年で長ければ10年です。
観賞魚として流通している淡水フグの中では長い方ですね。
テトラオドン・ムブの最大サイズと販売サイズはこちら!
テトラオドン・ムブの最大サイズ
既に何度かお伝えしましたが、テトラオドン・ムブは水槽飼育では50~70cmくらいまで成長します。自然界では100㎝まで大きくなるようですね。
今回、4年で67㎝の大きさになった飼育記録を見つけました。
思っていたよりも早く最大サイズまで成長するのに驚きました!なお、ムブの成長スピードについては後ほど解説します。
テトラオドン・ムブの販売サイズ
テトラオドン・ムブはだいたい10cm前後の子が販売されており、稀に20㎝台の子が販売されているようです。
テトラオドン・ムブの成長速度は?
テトラオドン・ムブの飼育を検討したときに、どれくらいの速さで成長していくのか成長スピード(成長ペース)が気になりますよね。
個体によって差が出ると思いますが、ムブの飼育者さんがブログ(Do-Junの水槽日記)でサイズ測定を投稿されていたのでその記録をまとめてみました。
採寸年月 | ムブのサイズ |
---|---|
2008年10月 (お迎え) |
12cm |
2009年1月 (3か月) |
18cm |
2009年10月 (1年) |
44cm |
2010年10月 (2年) |
57cm |
2012年9月 (4年) |
67cm |
※2011年・2013年の10月はサイズ表記なし。2014年8月でブログ更新終了。
お迎え時の12㎝の頃と比べると記録がある4年間で45cmも大きくなっていますね!
- 最初の1年間で32㎝のサイズUP
- 2年目の1年間で13cmのサイズUP
- 2年目から4年目の2年間で10cmのサイズUP
なので最初の方が成長速度が速く、次第にゆっくりになっていくようですね。
ただ、餌の量などで成長速度は変わるようなのでみんながみんなこのスピード感で成長する訳ではありません。他の飼育者さんは1年で全長35cm弱と言う情報もあります。
なお、Do-Junの水槽日記には、お迎えした後の2009年6月くらいから急成長、8月から泳ぎにも迫力が出たとの記録がありました。
67cmのサイズを採寸した際のお写真(引用元:Do-Junの水槽日記)
↑こんな風にしばらく水の外に出しても大丈夫なんですね!ビックリです。
blogで確認できる最後のムブさまのお姿(引用元:Do-Junの水槽日記)
こちらの飼育者さんは複数のフグを飼育されているので、ここまでのサイズに育て上げることができたのだと思います。素晴らしいですね!
テトラオドン・ムブが好む水温・pH・水質はこちら!
水温 | 24~28度 |
---|---|
pH | PH6.0〜7.5 |
水質 | 弱酸性~弱アルカリ性 |
水質の理想はPH7.5の弱アルカリ性で、PHが6を下回る酸性にならないように水換えや、ろ過フィルターに大粒の珊瑚砂や枝サンゴを混ぜてPHの降下を抑えるといいようです。
熱帯魚全般がなりやすい病気の白点病を避けるために28度にヒーターを設定して飼育するのがおすすめです。病気については最後の章で解説します。
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テトラオドン・ムブを販売しているお店と価格
テトラオドン・ムブの価格
お店によって変動しますが、記事執筆時は約11~15cmで税込28,000円前後です。
淡水フグでは最高金額ですね!いろんな意味で飼育に覚悟が必要なフグです。
テトラオドン・ムブの入荷頻度と販売しているお店
テトラオドン・ムブは熱帯魚専門店やホームセンターのペットコーナーでも販売されています。2020年(コロナ)以降も入荷されているお店が見受けられますね。
とはいえ、どこのお店でも販売されているわけではないので事前に確認が必要です。
なお、我が家がいつも生体や水草、アクアリウム用品を購入しているCharm(チャーム)さんは割とコンスタントに販売されています。(楽天市場店や独自のECショップなど複数ショップあり)
テトラオドン・ムブの性格と混泳の相性
テトラオドン・ムブの性格
縄張り意識の強いフグなので、気性の荒さは持ち合わせています。
飼育者さんたちは、ムブは餌はバリバリ食べて迫力あるけど、基本的に温厚、臆病と言う評価をされていました。
テトラオドン・ムブの混泳の可否
テトラオドン・ムブは混泳可能と言う情報もありますが、大きくなるにつれ、口に触れたものを吸い込んで食べたてしまうので基本的には同種でも多種でも混泳NGです。
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テトラオドン・ムブのオスメスの違いと産卵・繁殖
テトラオドン・ムブの見た目上のオスメスの違いも産卵や繁殖に関しても不明のようです。
まだまだなぞ多きフグです。
テトラオドン・ムブの歯切り
テトラオドン・ムブの歯は伸び、貝やザリガニなどの甲殻類を食べていても伸びすぎることがあります。
伸びすぎるとエサを上手に食べれなくなるため歯をカットしてあげなくてはいけません。
Do-Junの水槽日記さんが67cmのムブの歯切りを紹介しているブログをシェアするので合わせてご確認ください。歯切りの様子はこちら。
67cmムブちゃん歯切前の採寸のお様子(引用元:Do-Junの水槽日記)
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テトラオドン・ムブの餌、餌付け方
テトラオドン・ムブが好む餌はこれ!
テトラオドン・ムブは、次のようなものを食べます。
甲殻類 (生餌・冷凍) |
・生きエビ/冷凍エビ(シラサエビ) ・クリル(乾燥エビ・オキアミ) ・タニシやシジミなどの殻の付いた貝 (ホタテやツブ貝のみも食べる) ・ザリガニ |
---|---|
昆虫類 (生餌・冷凍) |
・イトメ ・赤虫/冷凍赤虫 |
魚 (生餌・冷凍) |
・小赤(エサ用の金魚)、ヒメダカなどの活魚 ・冷凍キビナゴ |
人工飼料 (配合飼料) |
・ひかりクレスト カーニバル/ひかりクレストビックカーニバル |
基本的には何でも食べますが、好き嫌いは激しいようです。
なお、体長が18cmくらいになればザリガニもバリバリ食べます。
お迎えしたばかりの幼魚期は赤虫、イトメなどムブが好むものを与え、徐々に人口飼料に慣れさせないと健康面でも飼育者のお財布面でも大変になっていきます。
また、歯が伸びすぎないように殻つきの貝類をあげる必要もありますね。
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テトラオドン・ムブの飼育に必要なものはこれ!
テトラオドン・ムブの飼育に最低限必要なもの
テトラオドン・ムブ飼育に必要な最低限のアイテムは次の通りです。どの淡水フグを飼育するのも必要なアイテムは同じです。
- 水槽
※幼魚の飛び出し報告が多いので水槽の蓋も必要 - ろ過フィルター
- 水槽用ヒーター
- 底砂
※掃除を楽にするために使わない人もいる - 水質調整剤(カルキ抜き)
- バクテリア(ろ過バクテリアの元)
- 栄養剤(添加用のミネラル)
- 照明
- エアレーション一式(エアストーン・チューブ・エアーを出す機器)
- バケツ
- 掃除用品
- OAタップ
- 餌
上記以外のものは必要に応じて買い足していきます。ムブに生餌をあげる場合、生餌を飼育しておく用の水槽などが必要ですね。
どの淡水フグを飼育するにも上記のアイテムが基本的には必要ですが、テトラオドンムブの場合水槽サイズが大きく肉食で食べ散らかすので、ヒーターやフィルターを2個使いしたりにする必要があります。
テトラオドン・ムブの飼育に必要な水槽サイズ
テトラオドン・ムブの場合、成長に合わせて水槽サイズを変えていきます。(水槽サイズが変われば必然的にフィルターやヒーターも変える必要あり)
水槽飼育の場合、最大70cmまで成長しするので最終的には120㎝水槽以上での飼育が必要です。
ムブのサイズと水槽サイズの目安
ムブのサイズ | 水槽サイズ |
---|---|
10cm~25cm未満 | 45cm水槽 |
25~30cm未満 | 60cm水槽か90㎝水槽 |
30cm以上 | 120cm水槽以上 |
初期費用を抑えるために最初から60㎝に入れて、広すぎてムブが怯えるようならセパレーターで仕切ってあげるなどしている方もいます。
上記のムブのサイズは目安で、ムブの飼育者さんたちは水槽内で窮屈そうにしていたらサイズアップをしているようです。
120cm水槽となるとかなりの重量になるので、家の床の耐荷重などもしっかり調べる必要がありますね。
テトラオドン・ムブをお迎えするまでの流れ
テトラオドン・ムブを本気で飼育しようと思ったらまずはお家の床の耐荷重を調べる必要がありますね。
最終的には120㎝水槽+水量+ムブの重さ+水槽台の重さが床にかかってくるので、しっかり調べておきましょう。
耐荷重がOKであれば、水槽の立ち上げをしてからムブをお迎え(購入)します。
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テトラオドン・ムブがかかりやすい病気はこれ!
テトラオドン・ムブに限らず、基本的にどんな熱帯魚も水槽内で同じような病気にかかります。
「水カビ病」「エロモナス病」「カラムナリス病」「白点病」にかかる可能性があると思っておきましょう。
テトラオドン・ムブが「白点病」になている情報を多く見たので注意が必要です。
熱帯魚がかかりやすい病気の詳細はこちら↓をご覧ください。アベニーパファー用の記事になっていますが、病気の原因や対処などはほぼ同じなので参考にしてみてください。
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テトラオドン・ムブはこんな人にお勧め!
テトラオドン・ムブ70cmまで大きくなり、エサ代・電気代・水槽などの設備代だけでなく、水替えなどのお世話の労力もかなりかかります。
万が一引っ越しなどが決まったら、専門の業者に依頼するなどのコストもかかりますね。
なので、よほどテトラオドン・ムブに惚れこんで人生ささげるぜ!くらいの気持ちがなければ手を出してはいけない淡水フグです。
時々、水槽飼育なら大きくならないだろうと飼い始めて、結局120㎝水槽などの設備をそろえられないという人がいるようです。
そうなるとムブが苦しむだけなので、本当にテトラオドン・ムブが好きなら、自分の財力や体力、精神的な余力がない限り、ムブのためにも飼育はやめておきましょう。
と言うことで、テトラオドン・ムブの飼育をお勧めする人は、財力も、体力も、時間もムブに捧げながらも人生満喫できる方ですね!
とはいえ、「好き」と言う気持ちは、普段の自分の性格さえも変えるものなので、テトラオドン・ムブの魅力に魅了されたらぜひとも飼育してみてください!
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終わりに
さて、記事を読む前よりもテトラオドン・ムブの魅力や飼育への覚悟の重要度の理解は深まったでしょうか。
今回この記事を書いていて、私自身はかなりムブの美しさや愛くるしさに心惹かれました。一度水族館に見に行ってみようと思います!
もしも今回の記事を読んで、ムブにひかれているけど初めての飼育にはちょっと。。と思った方は、ぜひ他の淡水フグ飼育を経てからチャレンジしてみましょう!
それでは素敵なフグライフを!
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