フグといえばふっくらしたイメージですが、ブロンズパファー(淡水フグ)はとってもスリム!そしてマンボウを小さくしたような愛くるしい姿をしています。
おどけた表情や水槽内をせわしなく一所懸命泳ぐ姿、キラキラ光るグリーンとゴールドのメタリックのボディの美しさに魅了されて飼い始める人も!
さて、今回は淡水フグのブロンズパファーについて解説していきます。
ブロンズパファーは「淡水飼育」なのですが、時々「汽水飼育」の話が上がる理由についても書いています。
ブロンズパファーとは?他の淡水フグとどう違う?
ブロンズパファーはこんな淡水フグ!
ブロンズパファーは東南アジアのメコン川に生息する淡水フグで、マンボウを小さくしたような見た目から「淡水マンボウ」の愛称を持ちます。また、ボディ―カラーがグリーン、ゴールド、ブロンズの間で変化する虹色のことから「ブロンズパッファー」「ゴールデンパファー」とも呼ばれます。
ちなみに、マンボウは生物学では「フグ目マンボウ科マンボウ属」に分類され、フグとマンボウは同じカテゴリーなんです。
ブロンズパファーは淡水飼育と汽水飼育のどっち?
ブロンズパファーを調べていると「淡水飼育」「汽水飼育」の両方の表記を見つけて混乱したことがあるかもしれませんね。
これは、同じブロンズパファー(ゴールデンパファー)でもいくつか種類がいて、種類によって「淡水」と「汽水」の違いが出てくるからです。
この件に関して、京都淡水フグ繁殖研究所さんが分かりやすい一覧表を作ってくれているのでシェアしますね。
過去のフグ情報発掘が面白い
6種のブロンズパファー(ゴールデンパファー)の比較情報まで出てきたぞ
こんなの作った記憶すらないわ pic.twitter.com/V9Dofea5pu— 京都淡水フグ繁殖研究所 (@puffers_island) December 21, 2017
販売店が仕入れたブロンズパファー(ゴールデンパファー)が「淡水」と「汽水」のどちらに住んでいたかで話が変わるわけですね。
なお、今回の記事では、淡水のブロンズパファー(ゴールデンパファー)について書いています。
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ブロンズパファーは他の淡水フグとどう違う?
ブロンズパファーと他の淡水フグの大きな違いはこの4点!
ブロンズパファーは次の4点が他の淡水フグ*との大きな違いですね。
(*このサイトで紹介している12種の淡水フグと比較)
- マンボウのような独特のフォルム(体型)
- キラキラ輝く虹色のボディーカラー(体色)
- 泳ぐスピードが速く、泳ぎ回る!
- 歯が伸びやすい
違い1:マンボウのような独特のフォルム(体型)
ブロンズパファーのように厚みが薄く背中からお腹までの長さが長い淡水フグは他にはいません。また、背びれと尻ヒレが大きさも他のフグとは異なる点ですね。
「え?本当にフグなの?」と言いたくなるこのフォルムは他の淡水フグにはないブロンズパファーの愛くるしい特徴です。
違い2:キラキラ輝く虹色のボディーカラー(体色)
グリーン、ゴールド、ブロンズの間で変化する虹色のボディーカラーは他の淡水フグにないと特徴です。
水槽内で泳ぐたびに色々なカラーの変化を見せてくれるブロンズパファーです。
違い3:泳ぐスピードが速く、泳ぎ回る!
ブロンズパファーは遊泳力が高く水槽内をビュンビュン泳ぎ回ります
といっても、ブロンズパファーは割と小さな水槽で単独飼育されていることが多いので、同じ淡水フグ仲間の南米淡水フグのような俊敏な動きを見かけることは少ないかもしれません。
水槽内をビュンビュン泳ぎ回るブロンズパファーの様子がTwitterに投稿されていたのでシェアしますね。我が家もよくお世話になっているショップさんです。
久し振りの淡水マンボウことゴールデンパファーことブロンズパファー🐡
汽水と思われがちですが純淡水です!#淡水マンボウ#ブロンズパファー#ゴールデンパファー pic.twitter.com/BfbSG7KOi9— あくあしょっぷ石と泉 (@kongsilverback) August 15, 2020
違い4:歯が伸びやすい
フグには歯があり、成長と共に歯も伸びます。ブロンズパファーは他の淡水フグに比べ歯が伸びやすいです。水槽飼育で柔らかい餌ばかり与えたり、水槽内に歯を削る岩などがない場合には、歯が伸びて餌が上手に食べられなくなります。
歯が伸びたせいで上手に餌が食べられないとガリガリに痩せてしまうこともあるので、そうなったらニッパーなどで歯を切る「歯切り」をしなくてはいけません。
ブロンズパファーの歯切切りに必要な道具ややり方については後ほど「ブロンズパファーの歯切り」の章でくわしく解説しますね。
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ブロンズパファーフグの基本情報(寿命・サイズ・水温・pH)
ブロンズパファーの寿命はこちら!
ブロンズパファーの寿命は約3~5年です。
このサイトで紹介している12種の淡水フグの中では短い方に入りますね。
ブロンズパファーの最大サイズと販売サイズはこちら!
ブロンズパファーの最大サイズ
ブロンズパファーは成魚になっても6~11cm程です。
※自然界だと10~13cm
ブロンズパファーの販売サイズ
お店で販売されているブロンズパファーのサイズは、だいたい5~6cm程です。
稀に2~3cmの子が入荷することもあるようです。
ブロンズパファーが好む水温・pH・水質はこちら!
水温 | 23~26度 |
---|---|
pH | PH6.5〜7.5 |
水質 | 弱酸性~弱アルカリ性 |
※上記飼育環境は文献などでも差異があるため参考としてください。
飼育者さん情報に酸性に傾きすぎると調子を崩しやすくなるとのありました。週1回1/3程度の水替えを忘れずに行いましょう!
また、熱帯魚全般がなりやすい病気の白点病を避けるために28度にヒーターを設定して飼育するのがおすすめです。病気については最後の章で解説します。
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ブロンズパファーを販売しているお店と価格
ブロンズパファーの価格
記事執筆現在ネット販売されているブロンズパファーがいないため、過去の価格を参考として記載しておきますね。
4~5㎝ | 税込1,600円程度 |
---|---|
5~6㎝ | 税込2,000円程度。 |
ブロンズパファーの入荷頻度と販売しているお店
2020年(コロナ)以降、ブロンズパファーの入荷は少なくなっていますね。
それ以前も半年に1度くらいの入荷頻度のお店が多く、レアな淡水フグです。
かつてはペットショップやホームセンターのペットコーナーにもいたようですが、2020年以降は専門店を探すのがよさそうですね。
記事執筆時現在ネットショップでの取り扱いもありませんでした。
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ブロンズパファーをお店で選ぶポイント4点!
選び方は歯が伸びやすいタイプのフグの選び方に共通しています。
ブロンズパファーをお店で実際に見て選ぶときには次の4点を最低限チェックしましょう。
- やせ細っていないか
- 歯が伸び切っていないか
- 病気になっていないか・体に傷などはないか
- 入荷後にトリートメント期間を経ているか
チェック1:やせ細っていないか
ブロンズパファーに限った話ではないですが、熱帯魚たちは長時間の旅をしてお店にやってきます。長時間移動する時は、袋の中で排泄物が出ないように食事制限される事が多くお店にいる子たちはスリムな子が多いです。
そんな中でもストレスなど何かしらでやせ細っている子もいるので、かわいそうだからと連れて帰ると水槽を立ち上げたばかりの初心者の場合は、うまく飼育できないこともあるので注意しましょう。
とはいえ、ブロンズパファーはもともとスリムなのでちょっとわかりにくいかもしれません。。
チェック2:歯が伸び切っていないか
前述しましたがフグには歯があり、ブロンズパファーは歯が伸びやすいフグに含まれます。
歯の伸び具合は個体差があるのですが、お店にいる間に歯が伸びてしまっていることも考えられます。
水槽内のフグたちの口元を見て歯が伸び切ってないか確認しておきましょう。
どれくらいの歯だと伸びているかといえば、口の外に歯が出ている状態であれば通常より伸びています。
ブロンズパファーの歯が伸び切った画像を見つけたのでシェアしますね。
#淡水フグ #ブロンズパファー
飼育下のフグは適切な餌と何か齧れるものがないと歯が伸び続け、餌が食べられなくなり餓死してしまいます。
そんなガリガリの子がショップにいたので買って治療してみました。 pic.twitter.com/RkYDoO6ez3— 京都淡水フグ繁殖研究所 (@puffers_island) September 27, 2016
チェック3:病気になっていないか・体に傷がないか
これは、どの熱帯魚をお迎えするときも同じですが、お店にいる熱帯魚たちは海外から日本の観賞魚問屋を経てお店にやってきます。2度の輸送のストレスから免疫力が落ち、病気にかかりやすい状態です。また、輸送中は袋の中でスシ詰め状態になることもあり、仲間とすれて傷があることがあります。
なので、病気になっていないか、体に傷などがないかチェックして健康なブロンズパファーをお迎えしましょう。
ちなみに、ブロンズパファーはお腹がすくとヒレを齧るくせがるので、「ヒレボロ」と表現される、ヒレなどがボロボロになっていることが多いようですが、ヒレは回復するのでそこまで気にしなくてもOKです。
1番気を付けてチェックしたいのは、寄生虫が原因で起こる白点病です。白点病は水槽内で蔓延してしまうので必ずチェックしたいものです。
白点病ってなに?と言う方は↓こちらをご覧ください。アベニーパファー用に書いていますが、見分け方などは基本的に変わりません。
チェック4:入荷後にトリートメント期間を取っているか
信頼のおけるお店では問屋から入荷した後に、すぐに販売せずに1~3週間はトリートメント期間を設けています。この期間にストレスだらけのフグたちを静養させて健康にします。
トリートメントは手間とコストがかかるため、行ってないお店もあるのでお店の人にトリートメント期間をどれくらい経た子達なのか、そもそもトリートメントをしているのか聞いてみましょう。
お店の人に直接聞きにくい場合、トリートメントしていることをうたっているお店を探すのがいいですね。トリートメントはお店にとっては売りなので、しっかりやっているところはサイトなどでアピールしていることが多いです。
ブロンズパファーの性格と混泳の相性
ブロンズパファーの性格
フグなので、縄張り意識が強く気性が荒いのはブロンズパファーも持ち合わせた性質です。
お腹がすくとヒレを齧るというクセや水槽内をせわしなく泳ぐという特性はありますが、淡水フグの中では性格はまだ大人しい方です。
人に良く懐き、飼い主を見て寄ってきたり手渡しで餌を食べるくらいなりますよ。
直接手からエサを食べてる動画
↑尻びれの振り方が、喜びを表しているようでとっても可愛いですね!
ブロンズパファーの混泳の可否
ブロンズパファーの混泳は「できなくはない」と言うのが一番正しい表現になります。
フグなので、縄張り意識が強く気性が荒いです。そして、ブロンズパファーはヒレを齧ることがあり、同種でも多種でもヒレを齧られる可能性があるのです。
これを踏まえたうえで、動きが速くてヒレがヒラヒラしていない魚となら混泳ができなくはない状況です。
ちなみに、甲殻類はフグの大好物でブロンズパファーも例外ではありません。
なので、ミナミヌマエビやヤマトヌマエビなのどエビと一緒に飼育したい場合には、おやつとして食べられる覚悟が必要です。
ブロンズパファーの場合サイズも11cmくらいまで大きくなるので、1つの水槽で1匹だけ買っている方も多く見受けます。
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ブロンズパファーのオスメスの違いと産卵・繁殖
ブロンズパファーは性差が確認されていないようです。また、水槽環境での繁殖報告も聞かれないためなぞ多きフグですね。
もし、この記事をきっかけに飼育を始めて産卵や繁殖に成功されたらぜひ押してほしいです!
ブロンズパファーの歯切り
ブロンズパファーの歯は伸びる!
前述した通りフグには歯があり、ブロンズパファーは歯が伸びやすく、自分で岩や貝などで歯を削れなかった子は口の外にまで歯が出てきてしまいます。
歯が伸びると何が問題なのかと言えば、餌が上手に食べれなくなることです。なので、歯が伸びすぎて、餌が上手に食べれていない状況になったときには歯を切ってあげなくてはいけません。
ブロンズパファーの歯切りに必要な道具はこの3点!
- フグを入れる小さめの容器(ボウルやバケツ、洗面器など)
※フグが逃げて泳ぎ回ることもあるので浅めの洗面器などがおすすめ - フグを包む布(キッチンペーパーやガーゼやタオルなど)
※フグの体を濡らすだけでなく、人の手の温度でヤケドさせない役割もあります - 歯を切るニッパーやハサミ
※歯切りをするフグの口のサイズに合わせて道具は調整
あとは、飼い主の勇気と覚悟が必要ですね。
ブロンズパファーの歯切り方法は4ステップ!
どのフグも基本的には次の4ステップで歯切り治療をしていきます。
STEP1:水槽から別の容器に歯切りが必要なフグを移す
※もちろん容器内の水は水槽内と同じ飼育水です!
STEP2:フグをくるむ布を容器内の水で濡らしてフグをくるむ
※できるだけ口だけが出る状態になるようくるむ
※フグが膨らんだとしても焦らない!フグのお腹を強くおさない!
(フグにはあばら骨がないので強く推すと内臓が出てしまう危険があります)
STEP3:手早くニッパーなどで歯をカットし、すぐに容器の水に戻す
※フグの負担を減らすために30秒以内にカットして水に戻せるよう努めましょう
慣れた人だと10秒でカットしてりもするようです
STEP4:フグを水槽に戻す
※歯切りのあとはショックから水槽の隅などで呼吸を荒くしながらじっとすることが多いようです
フグの歯切についてはその他の注意点や他の方が使ってる道具などをこちらの記事↓でより詳しく紹介しているので合わせてご覧ください。
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ブロンズパファーの餌、餌の量と餌付け方
ブロンズパファーに限らず淡水フグたちは肉食系で生餌を好みます。一般的な熱帯魚の餌は食べません。
生餌 | 赤虫、イトメ、甲殻類(エビ、スネール、シジミなど) |
---|---|
冷凍餌 | 冷凍赤虫 |
乾燥餌 | クリル(乾燥エビ・オキアミ) |
人工飼料 | 顆粒餌(オキアミの粉をまとめたもの) |
基本的に冷凍赤虫が好物です。小さなクリル(乾燥したオキアミ)にも食い付きます。
冷凍赤虫はできるだけビタミン添加されたいいものを与える方が健康で長生きしてくれます。高いからと言って餌をケチらない方がフグたちが病気にならず長いで見ればお得です。
冷凍赤虫の違いについて↓こちらの記事にまとめているので参考にしてください。
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ブロンズパファーの飼育に必要なものはこれ!
ブロンズパファーの飼育に最低限必要なもの
飼育に必要な最低限のアイテムは次の通りです。
- 水槽
- ろ過フィルター
- 水槽用ヒーター
- 底砂
- 水質調整剤(カルキ抜き)
- バクテリア(ろ過バクテリアの元)
- 栄養剤(添加用のミネラル)
- 照明
- エアレーション一式(エアストーン・チューブ・エアーを出す機器)
- バケツ
- 掃除用品(底砂クリーナーやスポイトなど)
- OAタップ
- 餌
エアレーションは空気のぶくぶくがです。ろ過バクテリアを増やすには必要なので、水質を汚しやすいブロンズパファーの飼育水槽には必須だと思った方がいいです。
内容はアベニーパファー(世界最小の淡水フグ)向けですが、淡水フグ飼育に必要なアイテムは↓こちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
ブロンズパファーの飼育に必要な水槽サイズ
ブロンズパファーは30cmキューブどの小型水槽で1匹だけ飼育する方も多く見かけます。
(小型水槽は横幅45cm以下の水槽のこと)
ただ、水槽が小さいと中の水の量も少なく、初心者の場合水質を安定させるのが難しくなります。なので、45 cm水槽以上での飼育がおすすめです。
水槽に関してはこちら↓の記事に詳細をまとめているので合わせてご覧ください。
ブロンズパファーをお迎えするまでの流れ
これから始めて水槽を準備してブロンズパファーをお迎えするのであれば、水槽と同じ日にブロンズパファーを購入してはいけません。
先に「水槽の立ち上げ」と呼ばれる水槽内の飼育水を魚たちが住める安定した状況にしてからブロンズパファーを迎える必要があります。水槽を立ち上げて最低でも1~2週間後にブロンズパファーをお迎え(購入)します。できれば1か月後くらいの方が飼育初期のトラブルが減ります。
アベニーパファー用の記事になりますが、基本的にお迎えまでの流れは同じなので水槽の立ち上げがよく分からない方は↓こちらを参考にしてみてくださいね。
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ブロンズパファーがかかりやすい病気はこれ!
ブロンズパファーに限らず、基本的にどんな熱帯魚も水槽内で同じような病気にかかります。
「水カビ病」「エロモナス病」「カラムナリス病」「白点病」にかかる可能性があると思っておきましょう。
ブロンズパファーは「白点病」になったという情報を多く見るので注意が必要です。
熱帯魚がかかりやすい病気の詳細はこちら↓をご覧ください。アベニーパファー用の記事になっていますが、病気の原因や対処などはほぼ同じなので参考にしてみてください。
どんな熱帯魚もストレスを感じると免疫力が下がってしまい、その結果病気になります。主なストレスの原因は水質悪化・水温変化・環境やpHなどの変化などなので、ブロンズパファーを病気にしないためにも、水をいい状態に保ってあげましょう。
水槽の水替えをしてもフィルター掃除を怠ると水質は悪化するので、定期的にフィルター掃除をすることが重要です。
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終わりに
さて、ブロンズパファーの魅力や飼育方法は記事を読む前よりイメージできるようになったでしょうか。どんな生体であっても、お迎えしてみないと何が起こるか分かりません。
自分に飼えるのか心配で迷っている方も、事前にある程度必要な情報を身に着けたら、あとは思い切って飼育してみましょう!どんなに知識を身に着けても実際に起こってみると分からないことがいっぱいあります。お家に来てくれたブロンズパファーと共に飼い主として成長していくしかありません。
飼いたい気持ちを抑えているより、思い切って飼育してしまう方が実り多い良い体験ができますよ!
では、素敵なコフグライフを!
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